相続税額の取得費加算
相続税額の取得費加算とは、相続税の申告期限から3年以内に相続により取得した土地等を譲渡した場合に、相続により取得した土地等に対応する相続税額を譲渡税を計算するときの取得費に加算する制度です。
多くの場合、相続により取得した土地を譲渡した場合には、取得費が不明ということが良くあります。この場合の取得費は譲渡対価の5%となり多額の譲渡税が課税されることが良くあります。
たとえば取得費が不明の土地を1億円で譲渡した場合の譲渡税は、
(1億円−500万円)×20%=1,900万円となります。
これを土地に対応する相続税9,000万円を納税した人が相続税額の取得費加算を活用して、上記の土地を1億円で譲渡した場合の譲渡税は、
(1億円−500万円−9,000万円)×20%=100万円となります。
取得費加算を利用した相続対策
既に「法人が所有した場合の財産評価」でご説明のように、法人による間接所有は財産評価において個人名義で所有するよりも有利であることを確認しました。
そう考えると、先祖から相続した土地を全て法人名義にすれば、半永久的に低い価格で相続し続けることができます。確かにその通りです。しかし、法人に名義変更するとき(個人から法人に譲渡するとき)に譲渡税が課税されてしまい多額のコストがかかってしまうため、先祖からの土地を法人名義に変更することは非常に難しいのです。
ただし、それは通常の場合であり、相続税額の取得費加算を使って法人に名義変更した場合にはこの限りではありません。
つまり、相続税の申告期限から3年以内は子孫に引継いでいく土地という大きな財産の評価を低いコストで半永久的に下げることができるタイミングといえるのです。